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空気圧がトラクターに与える影響
トラクターのタイヤは、農作業の効率や安全性に直結する重要なパーツです。
その中でも空気圧は、走行性能・燃費・作業精度に大きな影響を与えます。
適正な空気圧を保つと以下の効果があります。
- 地面をしっかりグリップし、耕うんや牽引が安定する
- タイヤの摩耗が均一になり、寿命が延びる
- 転がり抵抗が減り、燃費が改善する
- 不要な振動が減少し、機械やオペレーターへの負担が軽くなる
逆に空気圧が適切でない場合、滑って作業効率が落ちる・タイヤ寿命が短くなる・燃料コストが増える・故障リスクが高まるといったデメリットが生じます。
トラクターの適正空気圧の目安
トラクターの空気圧は、前輪と後輪で異なることが多いです。
またタイヤサイズやメーカーによって推奨値が設定されているため、必ず取扱説明書やタイヤ側面の表示を確認してください。
一般的な目安は以下の通りです。
- 前輪:100〜150kPa(1.0〜1.5kgf/cm²)
- 後輪:80〜120kPa(0.8〜1.2kgf/cm²)
小型トラクターでは比較的高め、大型トラクターでは低めの設定になるケースもあります。
「農作業用」と「公道走行用」で適正値が異なることもあるため注意が必要です。
作業内容ごとの空気圧調整
トラクターは用途によって求められる性能が変わります。
空気圧を使い分けることで、作業効率や安全性を高めることができます。
耕うんや畑作業
- 空気圧をやや低め(0.8〜1.0kgf/cm²)にする
- 接地面積が広がり、グリップ力が増す
- 土を深く踏み固めにくく、作物に優しい
運搬作業・公道走行
- 空気圧を高め(1.2〜1.5kgf/cm²)に設定する
- 転がり抵抗が減り、燃費と安定性が向上
- タイヤ摩耗が均一になりやすい
冬場や積雪路での走行
- 適正よりやや低めにすることで接地面が増え、滑りにくくなる
- ただし極端に下げすぎると危険なので要注意
空気圧の点検方法
空気圧のチェックは難しい作業ではありません。以下の手順で簡単に行えます。
- 水平な場所に停車し、エンジンを停止する
- タイヤが冷えている状態でエアゲージを使用する
走行直後はタイヤが温まり空気圧が高く表示されるため、必ず作業前に確認します。 - 基準値と比較し、不足していれば補充、過剰なら排出する
- 全てのタイヤを点検する(前輪・後輪ともに)
目安としては月1回以上の点検がおすすめです。
特に農繁期や長距離移動の前には必ず確認しましょう。
空気圧が適正でないと起こるトラブル
空気圧が低すぎる場合
- タイヤが過度にたわみ、摩耗が早く進む
- 燃費が悪化し、作業効率が落ちる
- ビード落ち(タイヤがホイールから外れる)の危険がある
空気圧が高すぎる場合
- 接地面積が減り、グリップ力が低下する
- 跳ねるような走行になり、作物や土壌を傷める
- タイヤ中央部だけが摩耗しやすい
空気圧管理の注意点
- メーカー推奨値を必ず確認する
同じ馬力帯でもタイヤサイズや型式で適正値が異なることがあります。 - 片側だけ大きく減っている場合は要注意
パンクやバルブ不良が原因の可能性があります。 - 極端に下げすぎない
作業効率を上げようと空気を抜きすぎると、事故や故障につながります。 - チューブレスタイヤは特に注意
空気漏れが気づきにくく、知らない間に圧が下がっていることがあります。
トラクターを長持ちさせる空気圧管理のコツ
- 定期的にエアゲージでチェックする
- 作業内容に応じて空気圧を調整する
- 保管中も定期的に点検し、長期放置での自然減に備える
- 農繁期前に必ずフル点検を行う
空気圧を適正に保つことは、トラクターの寿命延長・燃費改善・作業効率向上に直結します。
まとめに代えて:日常点検の習慣化を
トラクターの空気圧は、日々の作業では見落とされがちなポイントですが、実際には燃費や効率、安全性を大きく左右します。
「月1回の点検」を習慣にし、作業内容に応じた調整を行えば、トラクターは長く快適に使い続けられます。
大切な農機を守るためにも、空気圧管理を日常メンテナンスの一部として取り入れていきましょう。
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